PICKUP薬局

PICKUP.34
検体測定と充実の介護食で健康をサポート

東京都 墨田区
ライフバランス薬局

指先から採取したわずかな血液をもとに、血糖値や中性脂肪などの検体検査を行うサービスが、街の薬局でも拡がっています。東京・錦糸町に店舗を構えるライフバランス薬局も、開局以来、店内に検体測定室を設け、いつでも簡単に検査を受けられる環境で地域住民の健康をサポートしています。目指すコンセプトは「検査と薬でセルフメディケーションを応援」。経営者の小縣悦子さん(以下、敬称略)に、薬局開設に至る経緯などをうかがいました。

―「ゆびさきセルフ測定室」とも呼ばれる検体測定室の制度が認可されたのは、2014年4月のことです。

小縣 ちょうど私自身、開局を考えていた時期と重なりました。多くの薬局はなぜ、調剤ばかりが業務の中心になっているのか、医療機関に隣接する、いわゆる門前薬局である必然性がどこにあるのか……そんな悶々とした疑問を抱えながら、どこにでもあるような薬局にはしたくなかったのです。そこに、検体測定室を認可する動きがあり、薬局開設にあたり、自店のテーマの一つとして位置付けました。薬局をオープンしたのは制度が認可された年の暮れ、12月のことです。

従来の薬局の姿に囚われず、こだわりを持った内装にしています。

―検体測定に関心を持たれた理由は何でしょう?

小縣 薬大卒業後、都立病院や大学病院の薬剤師として勤務したあと、いったん退職し、その後、子育てが一段落したのを機に、白血病を治療する臍帯血移植の現場に10年間ほど携わりました。血液検査で病気や遺伝子のことなど、分かることがいろいろとあります。そこで培った検査業務の経験などが、時代の流れとも一致して、検体検査室を備えた薬局をつくりたいという思いにつながったことが、背景として大きいですね。

―薬局で実際に行われている検体検査は多種多様です。

小縣 糖尿病の指標となるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)に、生活関連病の総コレステロールや中性脂肪など関連13項目のほか、薬局内では血圧や心電図、貧血などの測定・検査ができます。前者については検査会社に測定を依頼するので有料となりますが、後者の薬局で測定・検査できるものについては全て無償です。薬局内での検査は「服や靴を脱がなくてもできる」ものに絞り込み、開局に際して、必要な機器はほぼ揃えました。また、お客様自身が自宅で検体を採取し、検査会社に郵送して結果の送付を受ける検査キットの販売も行っています。

―自身の健康状態が分かれば意識や備えも変わります。

小縣 めまいや息切れで来局される方がいます。話をうかがうだけでなく、検査をすると何か出てくることが少なくありません。例えば、貧血が疑われる場合、あまりにも症状が酷ければ、もちろん医療機関を受診するように勧めますが、軽度であれば鉄分の適切な摂取をアドバイスすることもできる。また、骨粗鬆症の治療薬を服用している高齢者の骨密度を測る機会は意外に少なくて、薬を飲んでいるのに結果が測定できない不満や不安に数値で応えることも、検体検査室で可能になります。

店内に検査測定室を設け、無料で検査出来る検査機器を揃えています。

セルフメディケーションをモットーに自分自身で健康管理を行っていただけるよう、検査中だけでなく、日頃から患者様とコミュニケーションを取っています。

※新型コロナウイルスの影響により一部使用を制限しております。

―貴薬局のもう一つの特徴は「介護食・病者食」の充実です。

小縣 腎臓病、糖尿病向けのほか、嚥下障害や胃瘻(胃に直接栄養を補給する方法)の方に向けた食品をおよそ1,000品目揃えています。利用者が店頭にない商品を購入する場合、多くは箱買いでコストもかかるし賞味期限もある。開局以来、徐々にラインアップを強化し、店頭で柔らかさなどの食感や味覚、栄養素などについて確認できるように配慮しました。相談を受けながら、症状や好みに応じて一品からご購入いただけます。

開局直後は必要最低限の商品だけを取り扱っていましたが、日々患者様とお話をする中で、多くのご要望を頂き、商品のラインアップも増えていきました。

症状に合わせて商品をご購入される方だけでなく、日頃から健康に気遣って商品をご購入頂ける方も多くいます。

―壁面一杯の商品陳列に圧倒されます。

小縣 薬局店頭にこれだけ多種多様な介護食・病者食が並ぶことは稀です。そのせいかメディアで取り上げていただける機会も多く、大手ドラッグストアや調剤チェーンの役員の方々が、頻繁に視察、見学に来られます。でも、ただ商品を揃えただけでは、この取り組みはなかなか難しい。薬剤師としてのスキルはもちろんのこと、商品知識やコミュニケーション力などを兼ね備えた専門家が、常駐できる態勢が必要です。

―今後の抱負をお聞かせ下さい。

小縣 介護食・病者食は、ネット検索などで遠方からの購入者も少なくありません。ネット通販など販売方法を拡充したい。また試食も大事なので、お試しセットのようなものも用意したいですね。そして、医療機関の後に処方箋を持って訪れるだけの薬局ではなく、病医院に出向く前に、いろんな相談に対応できる、気軽に立ち寄ってもらえるような薬局でありたいと願っています。

―本日はどうもありがとうございました。

店内に入ると中央には大きなテーブル。商品棚ともども特注品で、1日約100人の処方箋患者の多くは、プライバシーにも配慮されたこのテーブルで服薬指導などを受けています。患者をわざわざ投薬カウンターまで招くのは本末転倒、との思いがそこに込められています。開局から7年、小縣さんの理想追求は続きます。

テーブルに座ってお話をすることで、荷物を持ってカウンターに来ていただく大変さもなくなります。落ち着いてお話ができ、患者様にとっても薬剤師にとっても充実した時間を過ごせます。

Activeプラス編集部

東京都 墨田区
ライフバランス薬局

薬局情報

名称ライフバランス薬局
住所〒130-0012 東京都墨田区太平3-1-1
URLhttps://lifebalance.jp/
電話03-6240-4303

地図・アクセス

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