2023年7月、秋田県では記録的な大雨により甚大な被害を受けた地域がありました。今回紹介する佐野薬局五城目店も、そのような被害の大きかった地域にて営業されている調剤薬局です。
有事の場面をどのように対処したのかということや、普段の佐野薬局五城目店の取り組みを、薬局長である菅原様からお話を伺いました。
佐野薬局五城目店のみなさま
―はじめに佐野薬局五城目店様がどのような薬局なのか、概況を伺ってもよろしいですか？
菅原 当薬局の大きな特徴は、年末年始（12/31～1/3）を除き、ほぼ全ての日曜・祝日も開局していることです。
主に門前の内科医院の処方箋を応需していますが、五城目町だけではなく、秋田県内全域の総合病院や診療所、県外の医療機関の処方を受け付けることもあり、年間で見ると、110程度の医療機関からの処方箋を応需しています。
特に他の医療機関の休診が多い祝日や長期休み期間は、新患の方や県外の方、遠方からご来局下さる患者様もおります。
地域に根ざした薬局として、患者層はご高齢の方から、家族ぐるみで利用していただいている方、小児科のお子様など様々な方に利用していただいています。
―五城目町は2023年7月におきた、秋田県の豪雨被害の影響も大きかった地域だと伺っています。
菅原 そうですね。2023年7月14~16日の豪雨により、五城目地区では休診・休業をせざるを得ない病院や薬局もありましたが、当薬局はなんとか休まず薬局をあけることができました。
患者様からも、床上・床下浸水によるご自宅の被害を受けた、小屋や車、畑や田んぼが水没してしまったなど被災されたお話を多く耳にしました。
―地域全体で大きな被害を受けたのですね。
患者様方からの薬局への相談は多くあったのではないでしょうか？
菅原 薬を雨で流されてしまった、かかりつけの病院が水害で開いていない、おくすり手帳が水没したので新しいのがほしいなどといった相談が何件も寄せられました。
普段からやりとりしている門前医師と連携をとり、患者様が薬物治療を継続できるように支援したり、周辺医療機関の代理診察の処方箋を応需したりしました。
通常時とは異なった特殊な環境とはなりましたが、周辺の医療機関との協力を行ったおかげで、なんとか切り抜けることができました。
―有事ほど周囲との連携が大事になりますね。
日頃から人との繋がりを意識していらっしゃるのでしょうか。
菅原 そうですね。地域の方々との繋がりを深めるという点は常に意識しています。
処方箋の応需だけでなくOTC医薬品も取り扱っていて、それを求めて来客される方や服用中のお薬やご自身の体調に関する相談のために来局して下さる患者様もいらっしゃいます。
地域の健康生活支援ステーションを目指して、自社で作成している「さのはちだより」や管理栄養士のレシピの紹介コーナーを設けるなど、地域に向けた健康に関する情報発信にも取り組んでいます。
OTC医薬品売り場
さのはちだより
管理栄養士によるレシピ
―佐野薬局五城目店で行っていることで、特にアピールしていきたいことなどありますか？
菅原 五城目店だけではなく会社全体での取り組みにはなるのですが、最近は季節の変化に応じたOTC商品や健康食品の入れ替えに力を入れています。
当社のグループ会社と共同開発した「杉のしずく（除菌スプレー）」や「てくケア（機能性表示食品）」の取り扱いもしているのが特徴です。
また、当社には管理栄養士が多数在籍しており気軽な栄養相談の対応もできます。
当社ＨＰでは健康に関する情報の発信やスタッフコラム、これまで作成した管理栄養士のレシピなどの情報を随時更新しておりますのでぜひご覧になってみてください。
＊株式会社サノ・ファーマシー・グループHP
―今後薬局をどのようにしていきたいかなどビジョンはありますか？
菅原 医療DXが推進され、今後は電子処方箋を含めたデジタル化が急速に普及していくと思われます。そのような時勢の中でも人と人の繋がり、心の通った対応、「人の温かさ」を大切にしたいですね。
また、五城目町は秋田県内でも高齢化率が高く、要支援・要介護者の世帯割合も高い地域です。今後在宅医療の需要も増加するのではないかと予想されるので、“在宅医療”については今後力を入れていきたい活動のひとつです。
オンライン服薬指導なども含みますが、最新の情報やシステムを取り入れつつも、地域の皆様のニーズに寄り添った対応ができる薬局を目指していきたいです。健康や薬に関して困りごとがあったときに、薬局で相談してみようと思っていただけるような、地域の方々を安心させられるような場所にしていきたいですね。
デジタル化により、薬局の利便性は今後も向上されていくことが予想できますが、そのような中でも人同士の繋がりというのは大事なポイントです。
今回お話を伺い、繋がりをもつことの重要さを改めて感じることができました。
地域の方々との繋がりを意識することは、薬局が地域の中で存在感を発揮するためには不可欠なことではないでしょうか。
Activeプラス編集部（取材日:2023年11月7日）