PICKUP薬局

外観

PICKUP.37
「不易流行」の薬局を具現化

大阪府 吹田市
関西薬局 グローバルビレッジ津雲台店

2020年10月に供用開始したグローバルビレッジ津雲台(大阪府吹田市)は、大阪大学の国際学生寮と教職員宿舎を中心とする、国立大学としては全国最大級のハウジング施設です。健康と医療の街づくりを目指し、全世代を対象とする健康福祉サービス関連施設も併設され、2021年1月に開局した関西薬局グローバルビレッジ津雲台店も、その一翼を担っています。 薬局の内装は、最先端の西洋医学を学ぼうとする日本人のために、出島の外に「鳴滝塾」を開いて学生たちを指導した、ドイツ人医師のシーボルトの想いをコンセプトにしています。

今回は、同薬局の店長を務める共和メディカル(本社:大阪府東大阪市)薬局事業部の近藤順也さん(管理薬剤師)と同社統括本部広報課の上村夏美さん(以下、敬称略)に、薬局づくりのコンセプトなどをお伺いしました。

先生

今回は、管理薬剤師の近藤さんにお話をお伺致しました。

―グローバルビレッジ津雲台は、大阪大学関連の施設と民間付帯施設で二分されています。

上村さん 元は大阪大学の合同宿舎があったところで、総面積約7,200坪の敷地に大阪大学の国際学生寮と教職員宿舎、民間付帯施設が併設されています。国際学生寮は400室弱、教職員宿舎は300室強、民間付帯施設には賃貸住宅(99戸)やシニアレジデンス(55戸)、シェアハウス(85室)などの住空間が整備され、まさに一つの“ビレッジ”の様相を呈しています。 国際学生寮は日本人学生と留学生の混住型で、その名の通り、シェアタイプ(300室)に至っては4分の3が留学生専用となっています。新型コロナウイルスの影響で、留学生の来日は難しくなっているようですが、国際的な生活環境を実現することで、「地域に生き世界に伸びる」グローバル人材の育成が目的と伺っています。 また民間施設には住宅のほか、私どもの薬局や診療所、サービス付高齢者向け住宅、さらには飲食店にコンビニエンスストア、学習塾など多彩な業種が入居しています。

近藤さん 今回のプロジェクトの目的は、留学生や地域住民との国際的な交流、異文化交流を通じて人と人との新たなインタラクション(相互作用・相互交流)を芽生えさせ、「多様な知の協奏と共創」に貢献することと聞いています。併せて、子どもから高齢者まで全世代を対象とした健康と医療の街づくりを目指した複合施設を整備し、その一環で私どもの関西薬局が参画させていただくことになりました。

カウンター

薬局に来店される患者さんは学生も多く、調剤カウンターは現代の「新しさ」も取り入れた仕様になっています。

―薬局の内装ですが、ビレッジの国際色を意識してか「和洋折衷」のデザインです。

上村さん 鎖国時代の1823年に来日したシーボルトが、長崎近郊に開塾し、西洋近代医学を教えた「鳴滝塾」の想いをコンセプトにデザインしています。鳴滝塾のような欄間のデザインをインテリアに一部取り入れたり、本物のアンティーク家具などを混在させ、西洋と日本の融合を演出しています。その一方、調剤を自動化するピッキングマシーンや薬剤師の監査業務を支援するシステム、さらには電子薬歴など最先端の医療機器を導入することで古き良きものを現代風にブラッシュアップさせています。

近藤さん 「不易流行」が一つのコンセプトです。古き良き薬局の原点を取り入れつつ最先端の調剤機器を導入する。「古さ」と「新しさ」の融合を図ることで、江戸末期、鳴滝塾で西洋医学を学んだ塾生が日本の医学に寄与したイメージを具現化しています。 情報発信・啓発を目的としたデジタルサイネージ(ディスプレイなどの電子機器を使って情報を発信すること)も特徴です。店頭と店内で、薬局や街のコンセプト、メッセージなどを発信しています。

OTC

OTC販売の棚は本物のアンティーク家具を使用し、店内全体でコンセプトを表現しています。

―ビレッジの玄関口となる「つくもゲート」に店舗を構えておられます。

近藤さん ここには私どものほか、リウマチ専門の整形外科、泌尿器科、頭痛・めまいの専門クリニックなどが入居しています。これらの医療機関からの分も含め、1日に約80枚の処方箋を応需しています。

―このところ、薬局が地域コミュニティの拠点となることが期待されています。

近藤さん ここ津雲台地区では、定期的に意見交換会が開催されています。会には地域の社会福祉協議会のほか、介護や医療などの側面から高齢者を支える地域包括支援センター、訪問看護ステーションの看護師に理学療法士や作業療法士、地域住民の代表など、さまざまな施設・機関の関係者らが集い、住みやすい街、暮らしやすい地域づくりを目指して意見を交換しています。 新型コロナ禍の影響で、イベントなどの開催は制限されがちですが、意見交換会では薬局ならではの積極的な情報発信を求める声も少なくありません。今後は健康イベントの立案など、地域コミュニティの中で薬局としての確かな役割を果たしていければ、と考えています。

患者さん対応だけでなく、地域の医療関係者との連携も小まめに取ることで、患者さんにも地域の方にも信頼される薬局作りに取り組んでいます。

―本日はどうもありがとうございました。


共和メディカルはここグローバルビレッジ津雲台で、薬局運営のほか、訪問看護(あかり訪問看護ステーション、みんなの保健室)や飲食店(日本のいいもの食堂ハレとケ)、コワーキングスペース(コミュニティラボ)と、多彩な複数の事業を展開しています。ビレッジのオープンが新型コロナの蔓延時期と重なっただけに、描いた事業展開としてはまだ道半ばとのことですが、今後は各事業間のコラボレーション強化を図るなど、地域コミュニティの中でさらに存在感を高めていきたい意向です。

ActivePlus編集部

大阪府 吹田市
関西薬局 グローバルビレッジ津雲台店

薬局情報

名称関西薬局 グローバルビレッジ津雲台店
565-0862
住所大阪府吹田市津雲台5丁目11-1-1
電話番号06-6873-6300
URL https://kyowa-gr.jp/kansai-gv/

地図・アクセス

山田(大阪府・阪急線)駅出口1出口から徒歩約2分