PICKUP薬局

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PICKUP.33
患者との「距離感」大切にして在宅医療に注力

千葉県 習志野市
いずみ薬局

高齢社会の到来に伴い、薬局薬剤師が患者の居宅を訪問して服薬管理や指導などを行う「居宅療養管理指導」のサービスが増えてきました。千葉県習志野市でいずみ薬局を経営する木越大輔さん(以下、敬称略)も、そうした在宅医療に関わる薬剤師のお一人です。実家の薬局承継をきっかけにスタートした在宅薬剤師の業務で、最も大切にしていることは、患者との「距離感」だと言います。その思いをうかがいました。

先生の写真

今回は、いずみ薬局の木越 大輔さんにお話をお伺い致しました。

―現在訪問されている患家は十数件に上るとか。

木越 最初はお二人ほどでしたが、地域ケア会議などに参加し、ケアマネジャーやソーシャルワーカーなど他職種の方と関係を深めることで、お一人またお一人と、訪問する患者様宅の数が増えていきました。現在訪問しているのは全て、薬局を起点に3キロ程度の距離にある個人宅の患者様で、常時十数人の患者様の服薬管理などを担っています。
当薬局には、私を含め4人の薬剤師が常駐2人態勢で業務に従事していますが、私以外はパート勤務の薬剤師で、在宅医療に継続的に関わるには難しい側面があります。私一人で対応することを考えれば、10件前後の訪問患家が適正規模かと思っています。

―在宅医療に関わる上で、薬局薬剤師として大切にされていることは何でしょうか。

木越 それは、患者様らとの「距離感」です。10人の患者様がいれば、まさに十人十色、それぞれに人生があり、生活様式もまた、さまざまです。ご主人や奥様が介護を担っておられるケースもあれば、独居の方もいる。ただ、それぞれに共通するのは、子育てなどと違い、介護には「終わり」がないこと。そして、「孤独」を抱えている人が少なくありません。そうした状況に寄り添うことができれば、頼っていただける近しい存在にもなれることはありますが、在宅薬剤師をただ単に「薬を届けてくれる便利な人」、だから「用が済んだらとっとと帰ってほしい」と思っている患者様に近づきすぎると、それは逆効果にもなります。誰も彼も、友だち感覚のような距離感で対応することはできないし、便利屋のように思われても、それはそれでいい。それぞれの人生や事情に応じた患者様との距離感が維持できるよう、常に心掛けています。

在宅

患者様の家に向かう際、基本的に一人で向かうため必要な荷物は台車に乗せて運びます。

―患家を訪問する中での喜怒哀楽も多いかと。

木越 ほとんどの患者様とは、お亡くなりになった段階で縁が切れてしまうことが少なくありませんが、お連れ合いが亡くなられた後にも来局され、つながりがより深まったご家族もあります。それは在宅医療に携わっていて最もうれしい瞬間です。実家の薬局を承継するまで、私は勤務薬剤師でした。周りにいろいろと相談できる人がいたのは心強かったですが、今では在宅医療にも参画でき、勤務薬剤師では経験できないだろうことが多いと実感しています。

―実家の薬局を承継することになったきっかけは何だったのでしょうか。

木越 薬局開設は1992年の12月のことで、先代の父がある医療機関の事務長だったのが縁でした。家族に薬剤師がいたわけでもなく、管理薬剤師を雇用しての薬局経営でした。そのころ私はまだ小学校の高学年でしたが、薬局が身近な存在になったこともあってか、自然と薬剤師を目指すようになりました。薬大卒業後は千葉県内を中心に多店舗展開する薬局チェーンに就職したのですが、平成20年10月21日、実家の薬局の管理薬剤師が退職するのに伴い習志野に戻り、薬局を承継することになりました。ちょうど退職する管理薬剤師が在宅医療に参画し始めたばかりのころでもあり、業務の引き継ぎをする中で、必然的に私自身も在宅医療の道へと進むことになりました。 処方箋調剤が主体の薬局ですが、現在は内科、消化器系の処方箋を中心に、1カ月平均850枚から950枚強ほどを応需しています。

―今後の抱負をお聞かせ下さい。

木越 壮大な目標こそありませんが、開局以来、今年で30年になり、薬局も私自身も、時代の変化に乗り遅れることなく、地域に根付いた、必要とされる薬局になりたいと思っています。

―本日はどうもありがとうございました。

習志野市薬剤師会に所属するいずみ薬局は、夜間急病診療所の薬剤師業務や学校薬剤師業務にも積極的に参画しています。また、新型コロナウイルスのワクチン接種では、ワクチン充填業務などに従事するなど、社会活動にも熱心に取り組んでいます。歯科医師と連携した、うがい薬の創製も注目を集めました。ホームページにとどまらず、インスタグラム(@narashinoshi_no_yakkyoku)など、SNSによる情報発信にも注力しています。

学校薬剤師

学校薬剤としても活躍する木越さん。左手にある湿球乾球温度計を使用して、気温と湿度を測ることで、学校の衛生管理を行っています。

コロナ

ワクチン充填の様子。注射器にモデルナの液を入れ、接種に向けた準備をしています。

外観

千葉県 習志野市
いずみ薬局

薬局情報

名称いずみ薬局
住所〒275-0011 千葉県習志野市大久保2-14-19 フィオーレ大久保1階
URLhttps://izumiyakkyoku.info/
電話047-471-5871

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