今回は、漢方カフェを併設するお洒落な雰囲気の薬局で、地域の方に楽しく健康になっていただくことを目指す薬心堂薬局伊田店の末松先生と坂井先生にお話を伺いました。
―まずは店舗の概要についてお聞かせください。

当薬局は、内科や在宅の処方箋がメインで、60~80代くらいの方が多くいらっしゃいます。服薬管理をサポートして医師に情報提供する等、病院やケアマネジャーさんとも積極的に連携しています。
―店舗づくりについての工夫やこだわっている点はありますか?
健康に対して提案できる商品としては、糖尿病の方向けの糖質オフの商品や高齢者の方向けの高たんぱくの商品、数ある中から厳選したサプリ等を取り揃えています。
また、薬だけに特化せず、できるだけここでしか買えないものも置くようにしており、地域の方が作った無農薬・無添加のこだわりのお味噌や手作りのアクセサリー、雑貨もあります。処方箋が無くても、そうした商品だけを購入しに立ち寄られる方もいらっしゃいますね。
薬以外の商品を通じても来店者とのコミュニケーションが生まれ、アドバイスやサポートのきっかけになることもあります。


「ここに来たら面白そうなものがあるな!」とワクワクしてもらえるようなものを揃えているのが特徴です。
―漢方を扱っているとお聞きしましたが、漢方処方についてお教えください。
元々近隣のクリニックの先生が漢方を処方される事が多かったのに加え、薬局独自でも保険に頼らずに販売できるものも置いていますので、相談を受けて、カウンセリングから漢方薬を選んで販売しています。粉のエキス剤だけでなく、圧力鍋で煮出してパック詰めした煎じ薬も扱い、効果が高いと継続される方もいらっしゃいます。

特許も取得した製法で、圧力を使い分けて漢方薬を煮出します。
病院に色々行ったけど、気持ちや症状の面ですっきりしないと悩んでいる方々の中で、「薬心堂さんに行ったらなんとかしてくれる!」という口コミで来たという方もいらっしゃいます。処方されたお薬をお渡しする時と比べて、健康になりたいという意識の方も多いためか、ご自身で漢方相談に来られた方にはより話が届きやすい様に感じます。
漢方を取り入れることで減薬になることもありますし、日常感じる不調が解決して喜ばれることも多いです。中でも、血行を改善し、冷え症やデトックス、プロエイジングに効果のあるものは人気がありますね。
―漢方カフェの特徴や商品についてお教えください。
普通の調剤薬局の店構えでは、処方箋がないと入れないという意識が大きいですが、「薬」と「茶」と書かれた看板の「茶」の文字に惹かれて入ってきてくださる方が最近増えてきたように感じます。
カフェでは、ハーブやアロマテラピー等の総合的な知識を活用して、効果のあるものと組み合わせ、煎じ薬ほどは苦くない漢方茶を提供しています。


お洒落な内装のカフェでは、漢方茶と共にゆったりくつろげます。
また、地域の方にカフェスペースを活用し、アロマトリートメントや無添加の口紅づくり教室といったイベントスペースとしても開放しています。
昨年には、漢方相談をきっかけに、娘さんと二人でカフェをするのが夢だったというがん患者様に1日カフェオーナーになっていただくイベントを開催しました。
コロナ対策はもちろん、在宅の知識なども活かしてお母様の体調の変化にもすぐに対応できるような準備をして臨みました。
このイベントは、熊本の被災地の農作物を使い、その売上金を被災地の方やその農作物を作っている方に還元するというもので、被災地支援にも繋がりました。
在宅療養支援をしている薬局だからこそ可能なフォローも実践しながらの開催となりました。ご家族の方々からも安心してイベントができて本当に良かったとのお言葉を頂けました。
―最後に、これからの取り組みと目標についてお教えください。
処方箋に依存しない形を目指して、ご自身の健康を維持できるよう様々な取り組み・サポートを進めていきたいです。
カフェの方は、お客様に喜んでもらえる商品作りや漢方茶の提供方法を考えていきたいなと思っています。また、せっかくこのスペースがあるので、健康イベント等を開催したり、私たち薬局からも色々と情報を発信したりしたいと思っています。お薬をお渡しする時以外にもお話ができる機会を作って、地域の方ともっともっと交流したいですね。
「健康」や「薬」は堅苦しく、頑張らねばならない世界のように受け止められがちですが、健康であることは楽しいことだと思うので、「楽しく、おいしく、健康に」をもっと発信し、健康であること、健康になることを楽しんでもらいたいなと思います。
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薬心堂薬局伊田店では、処方薬だけに頼らず、地元の商品や漢方を通じて楽しく健康になることを発信しておられ、その裏には地域の方とのコミュニケーションを大切にする温かい姿勢がうかがえます。
今回は取材にご協力いただきありがとうございました。
Activeプラス 編集部