たかだ調剤薬局

店舗外観

大分県
分割調剤による複数診療科の処方薬一包化で飲み忘れ防ぐ

豊後高田市
たかだ調剤薬局

処方薬が増えると、心配なのが薬の飲み忘れです。予防手段の一つとして、服用するタイミングが同じ薬や一度に何種類も服用する場合、調剤時にそれらを一袋にする「一包化」という方法があります。しかし、高齢患者は受診科目が複数に及ぶこともしばしば。受診科目ごとの一包化では服薬管理が困難になることも少なくありません。
大分県豊後高田市のたかだ調剤薬局では、「分割調剤」という制度を活用して、そうした複数の診療科から処方された薬を一つにまとめ、飲み忘れがないように独自のサービスを提供しています。同薬局の管理薬剤師、永石 潤氏(以下、敬称略)に、分割調剤を活用した服薬支援の取り組みについてうかがいました。

先生の写真

今回は、管理薬剤師の永石 潤さんにお話をお伺い致しました。

―1回の調剤を分ける「分割調剤」は、処方薬の長期保存が困難な場合などに行われるのが一般的です。

永石 当薬局では2007年から、複数の診療科や医療機関を受診している患者様の薬を「合わせて一包化」するサービスをご提案しています。同日に受診し同じ日数分が処方されれば一包化は容易ですが、複数科受診の場合、診療科ごとに処方日や処方日数にズレが出ることがあるので、そうしたズレを調整し、一包化する日数を合わせるために分割調剤の制度を活用しています。
例えば、受診している複数診療科のいずれかを受診して薬が処方された場合、次に他の科を受診する日までの分の薬について、受診している全科分を合わせて一包化するというものです。
当薬局の1カ月の処方箋応需枚数は約5,000枚で、隣接する高田中央病院からの処方箋が中心です。同病院の診療科数は20を超え、患者様の受診診療科数は2科や3科が多いのですが、中には5~6科になる方もいます。そうした場合でも、1回の服薬分がワンパックになっているので飲み忘れを防ぐことができます。調剤に時間はかかりますが、常に複数科の薬を同じ方法で服用が可能になるので、患者様には納得していただいています。

分割調剤

実際に分割調剤を行っている様子です。薬の管理が難しく残薬がある患者さんが多いことをきっかけに「どこの薬をどう飲めばいいか」分かりやすくなるよう一包化を始めました。

―通常の一包化に比べ作業はかなり繁雑になります。

永石 確かに処方箋の入力作業など、とりわけ事務職員の手間は大変で、それに見合う調剤報酬があるわけでもありません。ただ、高齢患者の場合、服薬管理をご家族やヘルパーの方がサポートされることもあり、複数の診療科から処方された薬を合わせて一包化するメリットは大きいと考えています。
また分割調剤の場合、処方箋を紛失すると未調剤分の薬を交付できなくなるので、処方箋の管理が難しい患者様については、同意を得た上で、薬局でお預かりするようにしています。対象患者様が増えれば管理作業はさらに繁雑になります。率直に申し上げ、時間と手間がかかるためサービスの中止を検討したこともありますが、この方法でなければ飲み忘れを防げない患者様もいて、継続しています。一般的なやり方ではないかもしれませんが、当薬局で実践している分割調剤の意義は、そこに尽きると思っています。

―分割調剤をする判断基準はあるのでしょうか?

永石 患者様の服薬状況やご家族による服薬管理のサポートなどを考慮し、個々のスタッフが必要性を判断します。長年の経験と実績があるので、全職員が分割調剤に対応できるだけの素地があります。分割調剤を行うことで、患者様との関わりが深まったように思います。

―注力されているトレーシングレポート(服薬情報提供文書)の実践にも、それが活かされています。

永石 1999年の秋から始めています。処方薬についての疑義照会ほどの即時性は低いものの、薬物療法の有効性や安全性など、必要な情報を医師の診療を妨げることなくフィードバックできるトレーシングレポートは、患者様との関わりが増えれば増えるほど重要になってきます。患者様が抱えている問題にもよりますが、「薬を飲み忘れた」「薬の種類が多い」など、医師には話しづらいことも薬局の薬剤師なら話していただけることもあります。待合室には「あなたの声を医師に届けます」と記したポスターを掲示し、理解を得るようにしています。
2020年のトレーシングレポートの総件数は46件でした。薬局として報酬を得るには、レポート提出に患者様の同意が必要なのですが、同意を得られない情報でも重要なものは存在します。同意の有無は別にして、必要な情報は医師にお伝えするようにしています。それが処方提案や残薬の調整などにつながり、患者様の治療環境、服薬環境が好転することは少なくありません。

店舗の内観

店内(待合室)の様子です。受付には、多数のポスターや季節に合わた商品が置いてあります。また、薬を渡すだけではなく、患者様の悩みを真摯に受け止めアドバイスも行います。

トレーシングレポート

患者様の状態や服薬状況等を医師としっかり共有するために大事なコミュニケーションツールとして、20年以上トレーシングレポートに力を注いでいます。

―今後薬局として取り組みたいことはなんでしょう?

永石 2021年8月に薬局に関わる法律が改正され、特定の機能を有する薬局の認定制度がスタートしました。これを踏まえ、在宅医療などに対応した地域連携薬局や、がんなどの専門的な薬学管理ができる専門医療機関連携薬局の認定を受け、これまで以上に地域に密着したかかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師の実現を目指していきたいと考えています。

―本日はどうもありがとうございました。


たかだ調剤薬局の開局は1996年6月。2000品目以上の医薬品を備蓄し、隣接する地域の中核病院・高田中央病院の処方箋応需を中心に、地域医療に貢献してきました。近隣には2軒のグループ店を擁し、処方箋調剤だけにとどまらず、お薬相談会のほか薬物乱用防止教室などを開催。薬局としての社会活動も積極的に展開しています。

Activeプラス編集部

大分県 豊後高田市
たかだ調剤薬局

薬局情報

名称 たかだ調剤薬局
住所 〒879-0617 大分県 豊後高田市 本町 1237-1
URL http://www.e-classa.net/takachou/index.html/