処方箋の対応をする調剤業務だけでなく、最近では様々な取り組みを始めている薬局が数多くいらっしゃいます。
今回取材させて頂いた「コスモプラス株式会社」様でも、地域の中でより存在感を発揮していくために様々な取り組みに尽力されています。
今回の記事ではコスモプラス株式会社にご所属されている管理栄養士である、星野由希様(以下敬称略)よりお話を伺わせて頂きました。
-コスモプラス株式会社、及びコスモ薬局について概況をお伺いしてもよろしいでしょうか。
星野 コスモ薬局は埼玉県東部地域を中心に薬局を展開しており、店舗数は現在ですと16店舗で、全薬局で1日1,000枚ほどの処方箋を応需しております。
管理栄養士は10名程在籍しており、それぞれ各店舗を移動しながら業務に応じています。
私は管理栄養士全体のリーダーも務めていますが、業務の中心は薬局ではなく「TOROto(とろと)」というカフェで行っております。
-「TOROto」について詳しく伺ってもよろしいでしょうか。
星野 「TOROto」は埼玉県さいたま市の土呂町にあるカフェです。「TOROto」があるこのビルはコスモプラス株式会社の自社ビルとなっていて、「TOROto」、コスモ薬局本部、コスモ薬局土呂も入っています。
弊社では元々子ども食堂を開催したりしていたのですが、料理はビルの中にある小さいキッチンで作っていました。「もっと大きいキッチンを作りたいね」という話から始まり、せっかくだからと「TOROto」という名前でカフェを開業することとなりました。
「TOROto」という名称は、地域と一緒にあることを願って「土呂と」、「土呂へ」ということも意識して「土呂to」という意味を込めてつけられた名前です。地域の人とより繋がっていきたいという我々の想いが込められた名称になっています。
「TOROto」店舗内の様子
-地元への想いがそのままカフェの名称に現れていて素敵ですね。
星野 コスモプラスの強みとしては、「地域密着」という点が挙げられると考えています。
子ども食堂も、会社自身が地域の住民の一員として地域で活動していくために始めた取り組みでした。子ども食堂は貧困な方向けにみられてしまうことも多いですが、コミュニティを求めて利用される場合も多く、この土呂地域ではコミュニティを求めて利用される人が多かったですね。
こどものための活動としては他にも、無料の学習塾あすとろを開催したりもしています。
調剤薬局の業務とは全く別の活動をしていると思われるかもしれませんが、活動方針の根幹として「薬局自身が地域の一員として活躍したい」という想いがあるため、このような地域の生活に密着した取り組みを続けています。
-地域の一員として活動していきたいという想いが、とても伝わりました。
「TOROto」は内装も非常に落ち着いていておしゃれな空間となっているので、地域の人たちにとっても身近に感じやすいのではないでしょうか。
ゆったりと過ごせるカフェスペース(TOROto PLUS)
星野 「TOROto」は本社ビルの中に2020年に開業しました。
また、2024年6月には「TOROto PLUS」を本社の近くにオープンしています。どちらも比較的新しいので内装はとても綺麗ですね。
調剤薬局は病気や不調になってから行くところ、というイメージが利用者にまだあると考えているので、コスモプラスと地域の皆様が繋がる入り口として、「TOROto」を利用して頂けたらとても嬉しいです。
「TOROto」ではカフェだけでなく、レンタルスペースやレンタルキッチンなどもあるのでいろいろな人に利用して頂くことができますし、日本栄養士会から認定を受けた「栄養ケア・ステーション」でもありますので、店内を利用して頂きながら食や健康に関しての相談にも対応可能です。誰でも参加出来る食に関するイベントも開催しているので、地域の皆様に気軽に参加してもらいたいと考えています。
「TOROto PLUS」の中にはレンタルできる菓子製造スペースも
-管理栄養士が調剤薬局で働くことについて、ご自身が感じたメリット聞かせてもらえますか。
星野 薬剤師さんには言えない、言いにくい質問をいただけたりするので、管理栄養士は患者さんと近い距離でコミュニケーションが取れるのではないかと考えています。
食は毎日のことなので雑談ベースから患者さんとお話をして、様々な内容の相談を貰うことができるのですが、その中には専門家である薬剤師さん相手にはいいづらいことも含まれていることがあります。
栄養のこと以外にも困っていることを聞き出せることは非常に面白くてやりがいがありますし、頂いた相談を薬剤師さんと共有していきながら地域の皆様のために貢献していきたいですね。
専門家以外とのコミュニケーションというのも馬鹿にはできないので、別の立場から患者さんと繋がれることは管理栄養士が薬局にいるメリットといえるのではないでしょうか。
-「TOROto」では今後どのような取り組みをしていきたいと考えていらっしゃいますか?
星野 「TOROto」はコスモプラスの中の入り口として活動しています。
カフェとしての業務だけでなく、イベントの開催のアピールをしたりヘルスケア情報を発信したりと、コスモプラスと地域の繋げていくために「TOROto」があります。
長い期間の挑戦にはなると思いますが、調剤薬局が地域の皆様にとってより身近な存在になれるように働きかけていきたいですね。
-本日は貴重なお話をありがとうございました。
地域と繋がろうとする想いをコスモプラス様からは強く感じることができました。
薬局としての業務以外にも様々な取り組みを行っている中、より地域とのつながりを深める入り口として「TOROto」は有意義な空間を提供できているのではないでしょうか。
「TOROto」から始まる取り組みが地域住民の皆様に浸透していき、薬局が地域の一員として存在感を発揮していける未来はそんなに遠くはないのかもしれません。
Activeプラス編集部